ニュースの概要
ニトリが、国内最大級とされる家具のリサイクル施設を整備した。日本経済新聞によると、これまで家具のおよそ8割は廃棄されてきたが、新施設では解体と選別を通じて素材を取り出し、原材料として再び使う仕組みを整える。粗大ごみとして燃やされたり埋め立てられたりしていた家具を、資源として循環させる狙いがある。環境への負荷を下げることに加え、廃棄費用や資源価格の変動への備えを進める意図もうかがえる。家具メーカーが販売後の回収から再資源化まで自ら担う動きとして、業界の注目を集めそうだ。
引用元: ニトリが国内最大級リサイクル施設 8割廃棄の家具、原材料で再活用(日本経済新聞)
分析・見解
家具の8割が捨てられてきた現実に、メーカーが動く
家具は大きく、重く、素材が混ざっている。木、金属、布、スポンジ、接着剤が一体になった製品が多く、粗大ごみとして出されると、砕いて燃やすか埋め立てるのが一般的だった。今回のニュースで目を引くのは、これまで8割ほどが廃棄されていた家具を、原材料として再び使う点である。「処分するしかない」とされた物を、資源の入り口に戻す発想だ。売った会社が使い終わりまで関わる動きは、もう珍しくない。
最大の壁は分解の手間と、再生素材の売り先
衣類やペットボトルと違い、家具は一点ごとに形も構造も違う。機械に流しにくく、人の手による分解が残る。だからこそ施設を大きくし、同じ種類の素材を大量にそろえる意味がある。量がまとまれば、木質チップや金属を買う側も安定して仕入れられる。設備の大きさは、処理能力というより、売り先を確保するための条件でもある。ここを見落とすと、作ったのに売れない再生素材が倉庫に積み上がる。
製造から回収まで持つ会社だけの強み
欧州ではIKEAが中古家具の買い取りと再販を広げ、日本でも似た取り組みが出てきた。ただ、再資源化まで一貫して担える企業は多くない。ニトリは企画、製造、物流、店舗を自社で持つ。そのため、戻ってきた家具を自社製品の素材に使う道筋を描きやすい。単なる処分業者との差はここにある。回収した素材の品質を自社で確かめ、設計に反映できる点も大きい。たとえば分解しやすい接合方法を、次の新商品に取り入れることができる。
採算と回収量が、この挑戦の成否を決める
施設が大きいほど、安定した回収量がなければ稼働率が落ちる。重い家具の運搬費もかさむ。回収料金を誰が負担するか、再生素材をいくらで売るかが採算を左右する。環境配慮の象徴で終わるか、事業として自立するかは、この数字の積み上げで決まるだろう。筆者は、回収網を店舗の配送と組み合わせられるかが、最初の分かれ目になると見ている。
ビジネスへの影響
家具を扱う企業が今すぐ見直す三つの点
家具、内装、小売、不動産の担当者にとって、廃棄は「最後に払う費用」から「設計や購買の段階で決まる条件」へ変わりつつある。まず、自社で扱う製品がどんな素材でできているかを一覧にする。次に、分解に何分かかるかを測る。接着が多く、素材が混ざる製品ほど、回収後の費用は上がる。この見直しは、新品の購入価格だけで比べる習慣を変える。購買時に、解体しやすさを選定基準に加える企業が増えると考えられる。
オフィス移転や店舗改装で使える実務の手順
什器や家具を大量に入れ替える場面では、産業廃棄物として一括処分する見積もりしか取らない例が多い。これからは、再資源化まで行う業者の見積もりも並べて比べたい。費用が同じか、やや高くても、再資源化の割合を報告書にできれば、取引先への説明に使える。大手の取引先は、廃棄物の扱いを調達条件に入れ始めている。処分の記録を残す習慣が、将来の取引条件を左右する。
中小企業が取れる現実的な一歩
自前の施設は持てなくても、回収ルートを選ぶことはできる。まず年間の廃棄家具の量と処分費を集計し、再利用や再資源化に回せる割合を見る。次に、メーカーの引き取りや中古買い取りを試し、費用と手間を比べる。小さな実績でも、環境への取り組みとして公開すれば、採用や営業の場で評価材料になる。大手の大型施設は、中小にとって競合ではなく、利用できる受け皿になり得る。
