ニュースの概要
韓国の家具大手、現代リバートが「レイヤード・リビング収納」を発表した。中央収納、サイド収納、棚の三種類を自由に組み合わせて使う仕組みで、中心となる中央収納は幅1600mmと2300mmの二つの大きさから選べる。コンパクトなリビングでは最小限の構成で置き、広い壁面ではサイド収納や棚を足して壁一面をまとめることもできる。複数のユニットを連結すれば、壁全体を一つのインテリアとして見せられる点も特徴だ。収納量の多さだけを競うのではなく、部屋の広さ、持ち物の量、レイアウトの変化に合わせて形を変えられる点が、今回の製品の中心的な価値になっている。
引用元: 現代リバート、組み替え可能なモジュール式リビング収納を発売(Daum)
分析・見解
収納を買う時代から、収納を育てる時代へ
従来のリビング収納は、完成品を一つ買って壁に置くのが基本だった。置いた時点では寸法がぴったりでも、数年たつと持ち物が増えたり、家族構成が変わったりして合わなくなる。そこで買い替えか、別の収納を追加するかの二択になりやすかった。
今回の製品は、この前提を変えようとしている。最初は中央収納だけで始め、必要になったらサイド収納や棚を足す。収納を一度で完成させず、暮らしに合わせて育てていく発想である。
幅1600mmと2300mmの二択が持つ意味
中央収納の幅が二種類しかないことは、一見すると選択肢が少ない印象を与える。しかし実際には、設計として巧みである。1600mmはテレビ台を兼ねた小さめのリビングに収まりやすい幅で、2300mmは壁の一面を使う広めの部屋に向く。この二つを軸にしておけば、サイドや棚の追加で、幅の細かな差を吸収できる。
寸法の種類を絞ると、部品の共通化が進み、製造コストも下がる。さらに、後から買い足す部品が長く販売される可能性も高まる。利用者にとっては、将来も部品が手に入るという安心感になる。これは、組み替え式の家具が根付くかどうかを左右する大事な条件である。
日本の住宅事情と相性のよい点、難しい点
日本の賃貸や分譲マンションは、リビングの壁面が短く、柱や梁の出っ張りで使える幅が限られる。そのため、幅の自由度が高い収納は歓迎されやすい。一方で、日本の部屋は壁の長さが畳寸法を基準にしていることが多く、韓国の住宅の寸法とずれる場合がある。幅2300mmが日本の壁にそのまま収まるとは限らない。
また、地震の多い日本では、背の高い家具をつなぎ合わせる構成は、転倒対策が欠かせない。連結して一体化させると見た目はすっきりするが、壁への固定や、天井との隙間の処理まで考えて初めて、安全な壁面収納になる。
見落とされがちな視点は、持ち物の見直しが起きること
組み替え式の収納には、実は見えにくい効果がある。ユニットを足したり外したりするたびに、中身を一度出して整理する機会が生まれる。固定式の大型収納では、扉の奥に何年も使わない物がたまりがちだ。組み替えは、持ち物を点検するきっかけとして働く。
収納量そのものより、この見直しの習慣が暮らしの質を保つ。家具の価値を、容量ではなく、使い手の行動をどう変えるかで測る視点が、今後は重みを増していくだろう。
ビジネスへの影響
小売・住宅事業者が備えたい販売と提案の変え方
組み替え式の家具は、売って終わりではなく、買い足しが続くビジネスになる。販売側は、最初の一台の値付けを抑え、追加部品で収益を積み上げる設計を考えたい。住宅販売やリフォームの現場でも、壁面収納を最初から造り付けにするのではなく、組み替え式を提案する選択肢が広がる。入居後の暮らしの変化に対応できるため、顧客の満足度が長く続く。
店舗やオフィスに応用するときの具体策
この考え方は住宅に限らない。小規模な店舗では、季節ごとに商品の量や種類が変わる。固定棚ではなく、組み替えできる陳列棚を使えば、改装費を抑えながら売り場を変えられる。オフィスでも、人員の増減や部署の配置換えに合わせて、書類棚を動かせる利点がある。
ただし、導入前には三つ確認したい。一つ目は部品の長期供給、二つ目は転倒防止の固定方法、三つ目は組み替え時の作業負担である。とくに作業負担は、現場の担当者が一人で動かせる重さかどうかで、実際に使われ続けるかが決まる。
意思決定者が最初にすべき小さな検証
いきなり全面導入するのではなく、一部の部屋や売り場で試し、一年間の組み替え回数と手間を記録するとよい。実際に動かされた回数が少なければ、固定式で十分だったと分かる。多ければ、拡大する根拠になる。数字で判断することが、無駄な投資を防ぐ。
